染絵作家さんの丸山晶子さんとは、私達が以前改造して公開していた蔵ギャラリーを通じて知り合いました。
叔母様が残した昭和の建物を改造して、アトリエにしたい。その気持を、accaに託してくれて出来上がったリフォームは、今では「あとりえ梅庵」という名前のステキなギャラリーとして公開されています。
昭和初期の日本家屋をリノベーション
- acca
- 「染絵作家の丸山さんですが、染め絵って、版画とはまた違って、柔らか味があるというか、(写真:上)私とても好きです。
しかも、丸山さんのは、ちょっと心の深いところの心象風景を描いているというか。。特にこの裸電球のとか(写真:下)」 - 丸山さん
- 「これは、祖母の家に遊びに来てたこどもの頃に裸電球ひとつの灯りで暮らしたときの印象が元になってるんですよね。
その頃、薪で焚くお風呂に入ったりして、そうした体験は私のものづくりの原点にもなっているんです。」 - acca
- 「裸電球や薪のお風呂、そんな体験、なかなか今じゃできませんよね。」
- 丸山さん
- 「昭和初期の日本家屋って、今思うと、ある意味、住むには過酷ですよね。
でもその分、四季を明瞭に感じられる。夏は暑い!冬は寒い!というように。
また、雨が降れば雨音で会話が成り立たないことや風が吹けばとばされそうなくらいなその感じは、今のこのなんでも快適に整えられてしまってる時代の中で実はとても贅沢なことなんじゃないかと思えたこともあって。」 - acca
- 「そういう意味で、リフォーム前の梅庵の建物は、なかなか色々な体感をできる場所でしたよね。」
- 丸山さん
- 「そうなんです。そういった日本家屋の空間で、ものづくりをしていくこと。
そして、訪れてくれた人に何かを感じとって欲しいという想いからここを残していこうと決めたんです。」
古い家のよさを残しながらの修繕作業
- acca
- 「確か最初うかがったときは、この洋間の屋根と天井が崩れ落ちてましたよね。(写真)」
- 丸山さん
- 「土壁は崩れ落ちて青空が見えていたし、家は傾いていたし。」
- acca
- 「まさに、ビー玉を転がるくらいでしたものね。あの傾斜は結構すごかった。これはジャッキアップしかないっていう感じでしたね。」
- 丸山さん
- 「そう、床も今にも抜けそうな状態だったので正直無理かもしれないなって。
でも、この雰囲気を残したかったので、もしかしたら何もかも新しく建て替えたのと同じ感じになってしまうのではという不安はありました。」 - acca
- 「梅庵のリフォームのおもしろかったところは、床とか屋根とか、根本的なところを修繕しながらも、全てを新品にするのではなく、古い昭和の家らしさを残したいっていう丸山さんのコンセプトでしたね。」
- 丸山さん
- 「そういうのをわかってくれながら、現場の大工さんなんかと、一緒につくりあげていく感じがすごく楽しかったですね。大工さんたちがとても楽しみながら作業していた感じもうれしかった。」
- acca
- 「丸山さん自身がものづくりをしてる作家さんだから、つくることへの想いの強さは、私達としてもとても刺激的でしたね。」
- 丸山さん
- 「やっぱりとにかく大事にしたかったのは、きれいに直すということではなく、この家の持つ風情をそのままにしつつ、私の大好きな京都の寺院や建物の気に入ったテイストをところどころに入れてもらいたかったので。」
- acca
- 「そうですよね。いくつか、ピンポイントで、「これは是非」という「もの」へのこだわりがあって、それは建物の雰囲気を作るうえで大事なイメージになりましたね。」
- 丸山さん
- 「和室の手洗いは、瑠璃色の陶器ボールがいいと決めていましたし、玄関の土間は、梅色のモルタルにしたいというのは、すごくありました。」
- acca
- 「台所もすごく昭和らしい台所も、その雰囲気を壊さないように、木の部分を全て黒くぬることに決めて、それぞれの部屋に個性を持たせた感じでしたね。」
リフォームで実現 「家の記憶をつなぐ」こと
- 丸山さん
- 「皆で作ったっていう感じのこの梅庵は、リフォームしても昔の佇まいと風情を全く変えることもなかったので、本当によかったです。
訪れてくれた人たちが「なつかしい」と感じてくれそれぞれに自分の想いを重ね合わせながら梅庵でゆったりとした 時間を過ごして行ってくれるのを見ることが出来たこと、それに私自身の家族との思い出は消えることなくそこにちゃんと残してくれたのが、うれしかったですね。」 - acca
- 「家の記憶をつなぐ、っていうのは、accaにとってもすごく大切なテーマだと思っているんですが、この梅庵は、まさに、家族の思い出が引き継がれ、ひとつの時代の記憶として息づいている感じが、とても素敵だなと思っています。」
- 丸山さん
- 「accaさんとやって、とにかくまず私の想いをとても大切にしてくれたこと、それに、どういう風に残していきたいのか何をつけ加えていきたいのか、細かな部分の配慮もしてくれて打ち合わせを重ねていきながら最善の方法を考えてくれたりアドバイスをくれたのが、よかったです。
単純にひとつの家を直してもらったということではなく、気持ちを大切に一緒につくりあげてもらったということが何よりも嬉しかったです。」 - acca
- 「すごく素敵なリフォームに関わらせてもらって、私達こそ感謝です。」